基礎編

同時廃止と管財事件の振り分け

このページで学ぶこと

端的にいうと:「財産がなければ同廃、あれば管財」が出発点ですが、実際には免責の調査が必要な事案も管財に回ります。お金の問題と行状の問題、2つの軸で振り分けを予測します。

同時廃止の要件と効果

破産法216条1項 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。

要件:破産財団をもって手続費用を支弁するのに不足すること(その不足が明らかであること)。

効果:開始決定と同時に手続が廃止され、管財人は選任されず、換価・配当は行われません。以後は免責手続のみが進行します。

同時廃止管財事件(少額管財)
管財人選任されない選任される
引継予納金不要(官報公告費のみ)東京地裁の少額管財で20万円
期間の目安申立てから免責まで3〜4か月6か月〜(債権者集会の回数による)
郵便物の転送なし管財人に回送(81条)
免責調査書面審査中心管財人による調査・意見(250条)

東京地裁の振り分け運用

※ 以下は東京地裁の代表的運用です。基準額・運用は庁により異なるため、申立先の運用確認は必須です。

財産基準

  1. 現金33万円以上があれば管財(99万円までの現金は本来的自由財産〔34条3項1号〕であることとの均衡で、33万円が振り分けの目安とされる)
  2. 現金以外の個別財産の種目ごとに20万円以上の財産があれば管財
    • 預貯金、保険解約返戻金(合算)、自動車、退職金見込額の8分の1、過払金等の種目ごとに判定
  3. 不動産は原則として管財。ただしオーバーローン(被担保債権残高が処分価格の1.5倍以上の運用)の疎明があれば同廃の余地

免責調査型(財産がなくても管財になる場合)

⚠️ 実務の落とし穴:「財産がないから同廃でいける」という見立ては半分しか正しくありません。陳述書に書かれた使途不明金や直近の財産移動が、免責調査型管財への振り分けを招きます。同廃を狙うなら、説明の尽くされた申立書を作ることが最大の戦略です。

少額管財(管財事件の標準形)

東京地裁が運用する少額管財は、引継予納金を20万円程度に抑え、原則3か月程度での終結を目指す運用です。申立代理人が事前に財産調査・債権調査を尽くしていることが制度の前提であり、代理人申立てが利用の条件とされています。

📋 実務チェックリスト(振り分け予測)

確認問題

【○×】破産財団をもって手続費用を支弁できないことが明らかな場合、裁判所は破産手続開始決定と同時に手続を廃止しなければならない。

答え:○ 216条1項。裁量ではなく「しなければならない」(必要的同時廃止)です。

【○×】めぼしい財産が全くない債務者の申立てであれば、必ず同時廃止となる。

答え:× 免責不許可事由や否認対象行為の調査が必要な事案は、財産がなくても管財事件(免責調査型)となる運用です。

【事例】依頼者の財産は、預金12万円、解約返戻金8万円の保険2本(計16万円)、初度登録9年の普通車(査定5万円)。東京地裁運用での振り分け見込みは。

解答例 種目ごとの判定で、預金12万円(20万円未満)、保険は合算16万円(20万円未満)、自動車は年式・査定額から無価値ないし20万円未満。現金も33万円未満であれば、財産基準では同時廃止の見込みとなる。あとは免責調査の要否(使途・直近の財産移動)次第であり、陳述書での説明を尽くすことが同廃維持の条件となる。

🤖 このページについてAIに質問する

わからないことがあれば、下のテンプレートをコピーして Claude などのAIに貼り付けて質問できます。テストを作ってもらうのもおすすめです。