基礎編

申立準備②——申立書・陳述書の起案

このページで学ぶこと

端的にいうと:良い申立書とは「読んだだけで事件の処理方針(同廃か管財か、免責上の問題の有無)が決まる」書面です。曖昧さや空白は、補正指示・審尋・管財人調査として全部返ってきます。

申立書一式の構成

自然人の自己破産では、破産手続開始申立てと免責許可申立てを同時に行うのが通常です(なお、破産手続開始の申立てをした場合、原則として免責許可の申立てをしたものとみなされます——248条4項)。

書面機能
申立書本体当事者・申立ての趣旨・破産手続開始原因(支払不能・15条)
債権者一覧表全債権者の表示。免責手続の通知の基礎になる
財産目録資産の全部開示(前トピック参照)
陳述書(報告書)経歴・家族・負債増大の経緯・免責不許可事由に関する事情
家計収支表直近2か月の世帯収支
添付資料住民票、給与明細、通帳写し、各種証明書等

債権者一覧表の作成

陳述書(経緯報告書)の起案

構成

  1. 経歴(学歴・職歴・収入の推移)
  2. 家族構成・住居の状況
  3. 負債増大の経緯——時系列で「いつ・なぜ・いくら借り、何に使ったか」
  4. 支払不能に至った事情
  5. 免責不許可事由に関連する事情(該当がある場合の経緯と反省・現状)
  6. 生活状況の改善(家計の建て直し、ギャンブル等からの離脱の裏付け)

起案方針 — 「正直に、ただし構造的に」

負債増大の経緯は、依頼者の聴取メモの転記ではなく、借入れの時系列と使途を通帳・取引履歴と整合させた再構成であるべきです。

⚠️ 実務の落とし穴:依頼者の記憶だけで書いた陳述書が、後から取り寄せた取引履歴と食い違う事故が定期的に起きます。客観資料が揃ってから陳述書を固めるのが正しい順序です。

申立先・管轄

📋 実務チェックリスト(申立書起案)

確認問題

【○×】破産手続開始の申立てをした自然人は、別途免責許可の申立てをしない限り、免責手続は開始されない。

答え:× 破産手続開始の申立てがあった場合、反対の意思表示がない限り、免責許可の申立てをしたものとみなされます(248条4項)。実務でも同時申立てとして処理されます。

【○×】破産者が、その存在を知りながら債権者名簿に記載しなかった債権は、免責許可決定が確定しても免責されない。

答え:○ 253条1項6号(ただし債権者が破産手続開始を知っていた場合を除く)。名簿の網羅性は依頼者の利益そのものです。

【事例】陳述書の起案にあたり、依頼者が「パチンコに使ったことは書きたくない。生活費と書いてほしい」と求めてきた。どう対応するか。

解答例 応じてはならない。虚偽の陳述は免責不許可事由(252条1項8号・11号参照)に該当しうるうえ、通帳の出金状況等から発覚する可能性が高く、発覚した場合の免責への悪影響は自己申告の場合と比較にならない。むしろ、浪費・賭博(同4号)は裁量免責(252条2項)により免責される運用が確立しており、期間・金額を特定して正直に記載し、現在の改善状況を具体的に示すことが免責への最短経路であることを説明して説得する。説得に応じず虚偽記載に固執する場合は、辞任を検討すべき場面である。

🤖 このページについてAIに質問する

わからないことがあれば、下のテンプレートをコピーして Claude などのAIに貼り付けて質問できます。テストを作ってもらうのもおすすめです。