基礎編

管財人の職務と申立代理人の協力義務

このページで学ぶこと

端的にいうと:管財人の心証は免責意見(250条)に直結します。申立代理人の仕事は、管財人が追加調査なしで職務を遂行できる状態を作ること。資料は「求められる前に出す」が鉄則です。

管財人の職務

職務内容申立代理人の対応
財産の占有・管理(79条)財団財産の占有取得・現況確認鍵・通帳・権利証の即時引き継ぎ
換価(184条以下)任意売却・債権回収・訴訟追行買い手候補・債務者の情報提供
調査財産状況・否認対象行為・役員責任の調査説明義務(40条)の履行補助
否認権の行使(160条以下)流出財産の回復対象行為の経緯説明
債権調査届出債権の認否債権者一覧の正確性が前提
配当財団債権の弁済→破産債権への配当
免責に関する調査・意見(250条)個人破産での免責相当性の調査改善状況の報告・裏付け提出

管財人面接

開始決定の前後(東京では申立て後・開始決定前に行う運用)に、管財人・申立代理人・破産者本人の三者で行われます。

準備すべきこと

⚠️ 実務の落とし穴:面接で本人が代理人の同席に安心して「いや、実は……」と申立書に書いていない事実を話し出すのが最悪のパターンです。受任段階の聴取で全部出し切り、申立書と本人の認識を一致させてから面接に臨むこと。面接は「答え合わせ」の場であって「新事実が出る」場ではありません。

債権者集会

手続の終わり方

終局場面
異時廃止(217条)財団から手続費用を支弁できないことが判明(配当なし)。個人の少額管財の多数はこれ
配当→終結(220条)配当可能な財団が形成された場合
免責許可決定(個人)廃止・終結の前後に免責の判断

📋 実務チェックリスト(管財人対応)

確認問題

【○×】破産管財人は、個人破産の免責許可の判断について、裁判所に意見を述べる職務を負う。

答え:○ 裁判所は免責不許可事由の有無等について管財人に調査をさせ、意見を提出させることができます(250条)。実務では管財人の免責意見が判断を事実上左右します。

【○×】破産者は、債権者集会への出頭を申立代理人に委ねることができ、本人が出頭する必要はない。

答え:× 破産者本人には説明義務(40条)があり、債権者集会への出頭・説明は本人の義務です。代理人の同行は補助であって代替ではありません。

【事例】管財人から「破産者の母名義の口座に毎月3万円の振込みがある。説明されたい」との照会が来た。対応の手順を述べよ。

解答例 ①直ちに本人から事実関係を聴取する(振込の趣旨——母への生活費援助か、母名義口座への財産移転〔隠匿〕か、借入金の返済〔偏頗弁済〕か)。②裏付け資料(母の生活状況、口座の管理者が誰か)を収集する。③聴取結果を整理した報告書を速やかに管財人に提出する。仮に財産移転・偏頗弁済の性格があれば、その旨を含めて正確に報告する——ここで取り繕うと本人の説明義務違反(免責不許可事由)に発展する。申立前の通帳精査でこの振込みを把握し、申立書で先回りして説明しておくのが本来のあるべき処理であった点も、今後の教訓として振り返る。

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